移植コーディネーター
移植コーディネーターは大きく2つの仕事に分かれます
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ドナーコーディネーター
移植臓器の獲得 を中心に働きます
- 移植医療の普及啓発活動 (提供病院回り、講演会、街頭説明、ドナーカード普及など)
- 提供者情報の確保 (提供病院などからの提供情報からドナー候補の選択・一次判定)
- 提供家族との面談 (移植の説明と提供の承諾・拒否の確認)
- ドナー医学的適応の調査とドナー管理
- 主治医、臓器摘出医、血液検査センター、などと調整の上、臓器摘出計画
- 摘出記録作成
- 臓器搬送
- 移植後の経過を提供施設や提供家族に報告
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レシピエントコーディネーター
移植患者 を中心に働きます
- 移植希望者へ移植治療や登録方法の説明および登録手続き
- 移植希望者へ移植までの生活指導や相談
- 主治医と移植希望者、家族間の調整
- 移植手術の説明
- 移植患者の相談と術後管理指導
- 移植患者のデーター管理
- 退院後の指導とドナーコーディネーターとの連絡
移植コーディネーターの現状
現在移植コーディネーターというと、わが国では一般にはドナーコーディネーターを指すことが多い。
これは提供臓器の少ない現在、レシピエントコーディネーターの仕事は移植医や看護師、臨床工学士、ケースワーカーなどが行っており、諸外国のようなレシピエントコーディネーターとしての職種がわが国では定着するにいたっていないためである。
移植コーディネーターとしての職種の資格制度は現在 のところ、わが国にはありません。
ドナーコーディネーターとしての活動は、3支部の腎移植ネットワークに所属するコーディネーター16人と、そのネットワークから委嘱を受けた各都道府県コーディネーター 約50人で、全てドナーコーディネーターとして働いています。
年に一度の移植ネットワークの行う研修や、日本移植コーディネーター協議会(JATCO)での研修を受けた人達です。
現在は毎年行われる試験に合格しないと委嘱状が発給してもらえません。
そしてこれら都道府県コーディネーターは県の一般会計からの助成金で雇用されているケース (専任の場合) が多く、年度予算のため、毎年の契約となり、現在は予算縮小のため、給与は減額されているのが現状で、非常に不安定な職場環境といえるでしょう。
また、活動費はネットワーク予算からの支給となっているが、実費のみです。
レシピエントコーディネーターは、ある一部の病院ではその専任に近い立場の人はいますが、正式な職種としてはわが国ではないのが現状です。海外で移植を受けて帰国された人達は、移植を受けた時に一番身近に感じられるのがレシピエントコーディネーターと聞きます。
わが国でもこの職種が早く定着して欲しいものです。
移植コーディネーターを目指す人へ
移植コーディネーターになるにはどうすればよいのでしょうか?
現在、我が国では移植コーディネーター制度が確立されていないため、正式な移植コーディネーターというと(社)臓器移植ネットワークから委嘱を受けたコーディネーターということになるのでしょうか。
(社)臓器移植ネットワーク コーディネーター募集要項の最低資格
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1.
4年制大学を卒業した者あるいは卒業見込み
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2.
医療従事者 (看護婦、臨床検査技師、ケースワーカー等)
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3.
年一度のネットワークの行う移植コーディネーター研修会で修了証明を有する者などが条件として上げられています。
しかしこの募集も年に2~3人程度で毎年というわけではありません。
もう一つ各県の移植コーディネーターの道がありますが、これはさらに難しく、各県の事情でさまざまな採用をしています。
各県の移植コーディネーターの採用
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1.
静岡県のように複数人を県が指定して、所属する病院職員、団体として通常は働き、その中で兼務で移植コーディネーターを行うところ。
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2.
富山県のように財団法人の臓器バンクに所属して移植コーディネーター専属で行うところ。
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3.
愛媛県のように県の職員で県の移植コーディネーターを一人で行っているところ。
などさまざまで、県の体制に左右され、人が新たに採用されることはほとんど望めません。
現在はそれも補助金のカットで、都道府県の一般会計予算から人件費がまかなわれているのが現状で、フルタイムでの勤務ができない状態にあります。
ただ一方では経験の少ないネットワークコーディネーターが増員されてきていますが、事務所がある県が決まっていることもあり、地域に密着したコーディネーター活動はできない状況にあります。
あとは勝手に各病院での移植医療の進め方によってドナーコーディネーター、レシピエントコーディネーターとして病院業務の中で行ったり(いわゆる院内コーディネーター)、移植経験者に入ってもらうボランティア的なレシピエントコーディネーターなどです。
いずれにしても一番の近道は医療従事者の資格をとることではないでしょうか。